口腔内の細菌② 2021年8月19日(木)
こんにちは
口腔内の細菌①でもお話ししましたが、お口の中には様々な細菌(微生物)が生息していて、数百種類の細菌が少ない人でも1000億以上、歯や舌の表面、歯周ポケット、唾液など、それぞれの部位に特徴的な細菌集団を形成しています。その細菌集団を口内フローラと言い、私たちの健康に影響を与えてます。
そしてこれらの菌は大きく3つに分けられます。
1 口腔内での日和見菌 ⇨ 日常の不十分な口腔ケアと免疫力低下に伴い増殖し,病原菌を発揮することがあります
・カンジダ菌
真菌の一種でカビのことでです。人間の体の中に常在していますが、体の免疫力が低下した時に症状がでてきます。
・肺炎桿菌
高齢者のお口の中に多い菌で腸内細菌の一つですが、免疫力の低下した人に感染します。
・緑膿菌
お口の中に常在していて、この細菌が分泌する色素によって、たんや膿が青緑色になります。
・黄色ブドウ球菌
顕微鏡で観察するとぶどうの房状に見えるためにブドウ球菌と呼ばれていて抗生物質に抵抗力があります。
・インフルエンザ菌
2 歯周病の原因となる菌 ⇨ 歯周病で悪化した歯茎からの出血で菌が活発になります
・ポルフィロモナス・ジンジバリス菌
非運動性のグラム陰性偏性嫌気性で慢性歯周炎に関わる最重要細菌です。進行した成人性歯周炎の病巣から検出され、特に歯周ポケットの最深部に繁殖しているといわれています。
・トレポネーマ・デンティコラ菌
嫌気性のグラム陰性菌で、重度の歯周病にみられる菌です。免疫抑制作用に関わっていて、歯周内科治療では比較的除菌されやすい菌です。
・タンネラ・フォーサイシア菌
歯周組織破壊の激しい部位で検出され、難治性歯周炎においてみられる菌です。歯周内科治療では比較的消えにくい菌です。
3 虫歯の原因となる菌 ⇨ ミュータンス菌が虫歯の原因となり、ソブリナス菌がミュータンス菌を住まわせ、ラクトバチルス菌が虫歯を大きくします
・ストレプトコッカス・ミュータンス
グラム陽性通性嫌気性のレンサ球菌属の一種で、酸素の有りなしに関わらず増殖します。レンサ球菌は顕微鏡で見ると 丸い形状の菌(球菌)が連鎖状につながった形をしていて、虫歯の原因菌になります。
・ストレプトコッスカス・ソブリナス
グラム陽性通性嫌気性のレンサ球菌で、ミュータンス菌が歯に付着して定着する為の不溶性グルカンを作成して、う蝕原性バイオフィルムの成熟を手伝っています。酸性の環境下や、酸素や糖が全くない飢餓状態でも酸を作ることができる強い菌です。
・ラクトバチルス
グラム陽性通性嫌気性または微好気性、桿菌、非芽胞形成性の真正細菌で、虫歯の進行を手伝っている菌です。
当医院では初診、再初診時、治療に必要な時などに、患者様のお口の中の細菌を位相差顕微鏡で確認をしています。そしてご自身のお口の中にはどのような細菌がいるのかを見てもらいます。患者様が更に詳しく細菌の種類や量を確認したいとなれば、自費治療にはなりますが歯周病菌のDNA検査もしております。歯茎からの出血、歯周ポケットが深い、お口の中がネバネバする、口臭・・・など、気になっている事がある方は検査をしてみてもいいかもしれないですね。
担当は歯科衛生士山田でした