子どもがサ行を言いにくい原因は?舌の癖や歯並びの影響と受診の目安|旭川市の小児矯正|たくま歯科医院

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子どもがサ行を言いにくい原因は?舌の癖や歯並びの影響と受診の目安

子どもがサ行を言いにくい原因は?舌の癖や歯並びの影響と受診の目安

「サ行」が気になり始めたら、まず原因の整理から


年長さんになっても「さかな」が「たかな」に近く聞こえる——旭川市で子育て中の保護者の方から、こうしたご相談が寄せられます。発音のしにくさの背景には、舌の使い方や口周りの筋力、歯並びが関わっている場合もあります。この記事では考えられる原因と、家庭で観察できる目安を整理します。


この記事の要点まとめ


  • サ行の言いにくさは舌の癖や筋力、歯並びなど複数の要因が関わる場合があります
  • サ行は5〜6歳頃にかけて整っていく音とされ、年齢に応じた見極めが目安になります
  • 歯科では骨格の確認やMFTなど、口腔機能面からの相談が選択肢となります

子どもがサ行を言いにくい主な原因|舌の癖・筋力・歯並びの関連性

子どもがサ行を言いにくい主な原因|舌の癖・筋力・歯並びの関連性

サ行は、舌先を上の前歯の裏あたりに近づけ、細い息をまっすぐ前へ通して作る音とされています。舌・唇・歯の3つがそろって初めて安定するため、どれか一つが崩れただけでも音が濁ったり、別の行に近く聞こえたりすることがあります。日本小児歯科学会も、小児期の口腔機能は成長段階に応じて変化していくものと位置づけています3。


舌先が上がらない「低位舌」や舌小帯の短縮


安静時に舌先が上あごにつかず、下の前歯の裏へ落ちている状態を低位舌(ていいぜつ)と呼びます。これが習慣になると、サ行の一瞬だけ舌先を持ち上げる動きが取りにくく、「タ」や「チャ」に近い響きになる場合があります。


舌の裏側にある「舌小帯」が短めで、舌先の動く範囲が制限されるケースもあります。ただし、短さの程度と発音への影響は必ずしも一致しません。見た目だけで判断せず、実際の動きを含めて確かめたいところです。


口呼吸や口唇閉鎖不全による口周りの筋力不足


サ行は、息の量とスピードを細かく調整する音でもあります。日ごろお口がぽかんと開いていたり、鼻づまりから口呼吸が続いていたりすると、唇や頬の筋肉を使う機会が減り、息を細く保つ調整力が育ちにくくなると考えられています。


指しゃぶりが長く続く、よだれが多い、食事中に音が出やすい——こうしたサインは、口腔機能の発達を見直す手がかりになります。鼻の通りは全身の状態とも関わるため、慢性的な鼻づまりがあれば耳鼻いんこう科での確認も選択肢のひとつです1。


開咬(前歯が閉じない)や受け口など噛み合わせの影響


奥歯を噛んでも上下の前歯が閉じない「開咬」では、その隙間から息が抜け、英語の「th」に似たこもった音になることがあります。受け口(反対咬合)や前歯の並びの乱れも、息の通り道の形に影響する要因として挙げられます。


サ行のしにくさは、癖・筋力・構造という複数の要素が重なって現れることが少なくありません。 原因を切り分けるには、口の中を専門的に観察する視点が役立ちます。


自然な発達か受診が必要かの見極め基準とセルフチェック

自然な発達か受診が必要かの見極め基準とセルフチェック

「もう少し様子を見てよいのだろうか」。ここで迷う保護者の方は多いものです。発音は年齢とともに段階を追って育つため、時期の目安を知っておくと判断の助けになります。


年齢別の発音獲得ステップとサ行が完成する時期の目安


パ行・マ行など唇を使う音は早くに定着し、続いてカ行・タ行が育つとされています。サ行やラ行、ツの音は獲得が遅い音の代表で、5〜6歳頃にかけて整っていくと考えられています。


  • 3歳頃:サ行がタ行やチャ行に置き換わることは珍しくない
  • 4歳頃:音の区別が進みつつも、揺れが残る時期
  • 5〜6歳頃:多くの音が落ち着き、就学前に整いやすい時期

年長さんで気になる状態が続くようなら、様子見だけで終わらせず、一度専門家の目を通しておくと見通しが立てやすくなります。


「タ行への置き換わり」と「息が横から漏れる音(側音化構音)」の違い


「さかな」が「たかな」になるような置き換えは、成長とともに整いやすいタイプとされています。一方、気にとめておきたいのが、息が舌の横から抜けて「イ」に近いこもった響きになる側音化構音です。自然には整いにくいとされ、早めの相談がすすめられる傾向にあります。


家庭では、お子さんの正面から「さ・し・す・せ・そ」をゆっくり言ってもらいましょう。口角が片側だけ横に引かれていないか、息がまっすぐ前へ出ているか。迷うときは動画に残し、相談の際に見てもらう方法もあります。


耳の聞こえづらさ(滲出性中耳炎)や園からの指摘の受け止め方


見落とされやすいのが聞こえの問題です。サ行は周波数が高く、滲出性中耳炎などで軽度の聞こえにくさがあると、音そのものを捉えきれていない可能性も考えられます。テレビの音量が大きい、呼びかけへの反応が薄いといった様子があれば、聴力面の確認も検討しましょう1。


園の先生から「舌の動きに癖があるかも」と伝えられたときは、指摘というより早期に気づけたきっかけと受け止めてみてください。どんな場面で気になるのかを具体的に聞き、記録として持参すると、相談がスムーズに進みやすくなります。


歯科医院で相談できること|骨格の確認と口腔筋機能療法(MFT)


ことばの相談先というと言語聴覚士やことばの教室が思い浮かびますが、原因が口の構造や機能にありそうな場合は、歯科医院での観察が手がかりになります。歯や顎の成長、舌や唇の使い方は、歯科が日常的に向き合っている領域だからです3。


セファロレントゲン等による骨格や歯並びの確認


当院では、頭部専用のセファロレントゲンや歯科用CTを用いて、顎の骨格や上下の位置関係、永久歯の状態を画像で確認しています。肉眼では見えにくいところまで把握できると、発音のしにくさに構造的な背景があるのかを整理しやすくなります。


型取りが苦手なお子さんのために、口腔内スキャナー「iTero」も導入しました。カメラでお口の中をなぞってデータを取得する方式のため、えずきにくく、小さなお子さんの負担に配慮した検査として活用しています。


舌や口周りの正しい動きを育てる口腔筋機能療法(MFT)


MFT(口腔筋機能療法) は、舌や唇の望ましい位置と使い方を、遊びに近い簡単なワークで身につけていく方法です。舌を上あごにつける練習、唇を閉じる力を養う運動などを少しずつ積み重ねます。


当院には日本口育協会認定の口育士が在籍し、矯正治療を行うお子さんにはMFTを併用しています。口腔機能発達不全症の観点からも、食べる・話す・呼吸するという機能を一体で育てる姿勢を大切にしています。変化の現れ方には個人差があり、継続と定期的な確認が前提となる点はご理解ください。


早期相談のメリットと家庭でできる無理のない見守り方


家庭で心がけたいのは、言い直しを何度も求めないこと。「もう一回言ってみて」が重なると、お子さんが話すこと自体をためらう場合があります。大人が正しい音でゆっくり返す、それだけでも十分な関わりです。


ことばの教室は予約が混み合うこともあるため、迷っている段階から情報を集めておくと動きやすくなります。当院は旭川市永山で相談を無料で受け付けており、7歳までに一度ご相談いただくことをおすすめしています。保育士による託児サービスもご用意していますので、下のお子さん連れでもお気軽にどうぞ2。


よくある質問


Q. 子どもがサ行を言えないのはなぜですか?

A. 舌先を上あごに近づける動きが十分でない、唇や頬の筋力が育ちきっていない、前歯の隙間から息が漏れるなど、複数の要因が考えられます。聞こえの問題が隠れている場合もあるため、一つに絞らず観察することが大切です。


Q. サ行が言えないのは何歳まで様子を見てよいですか?

A. サ行は獲得が遅めの音で、5〜6歳頃にかけて整っていくとされています。年長さんの時期に気になる状態が続く場合や、息が横に漏れるような響きがある場合は、就学前に一度ご相談いただくと見通しが立てやすくなります。


Q. 相談先は歯科と言語聴覚士のどちらがよいでしょうか。

A. どちらか一方に決める必要はありません。舌の癖や歯並び、口周りの筋力が関わっていそうなら歯科での確認が手がかりになりますし、必要に応じて他の専門機関との連携もご案内しています。


Q. 滑舌のしにくさは遺伝しますか?

A. 発音そのものが受け継がれるわけではありません。ただ、顎の大きさや歯の大きさといった骨格的な特徴は遺伝することがあり、結果として口の中の環境が似る場合はあります。


Q. 発達の特性と関係することはありますか?

A. ことばのリズムや会話のテンポに特徴が見られるお子さんもいますが、発音のしにくさだけで判断できるものではありません。気になる点があれば、かかりつけの小児科や自治体の相談窓口も含めてご検討ください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

3. 日本小児歯科学会 公式サイト https://www.jspd.gr.jp/


詫摩 厚太

歯科医師


たくま歯科医院

日本小児矯正研究会 POJ Young Faculty

詫摩 厚太

▶ 監修者プロフィール

経歴
北海道教育大学付属旭川小学校 卒業
函館ラサール中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部歯学科 卒業
福岡はなだ歯科クリニック 研修医終了
たくま歯科医院 勤務
資格・所属学会
一般社団法人国際歯周内科学研究会
日本小児矯正研究会 POJ Young Faculty
日本口腔外科学会
日本小児歯科学会
赤ちゃん歯科ネットワーク